映画『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』

最高だった。

キングダムにコンフィデンスマン、中堅女優としてポジションをすでに確立していると思っていた長澤まさみがここにきて、どれだけファンを増やせば気がすむのだろうと思った。

 

以下ネタバレしか書きません。

 

信頼できる主人公のもとでなら、どんな巧みなストーリーラインでも、私たちは大船に乗ったような気持ちでハッピーエンドを待つことができる。

 

ダー子がイケメン恋愛詐欺師にひっかかるわけがない。ここにきて無償で人の恋路の手助けをするはずがない。ましてや愛に目が眩んで人を銃で打つなんて、太陽が西から登る方が断然現実味がある。

物語が進むごとに違和感が降り積もっていく。

思い出せ、ダー子はこの程度の女だったか?

いや違う。絶対にどんでん返しが待っている。この物語は間違いなくハッピーエンドだ。

これはベタっていうんじゃなくて、主人公に対する信頼っていうんだと思う。

ボコボコにされるのを期待して仮面ライダーを見る人なんていないのと同じように、私たちはダー子たちが最後に札束に埋れて笑うのを見たくてチケットを買っている。

 

コンフィデンスマンJPは結末の爽快感を約束してくれているエンターテイメントの代表作として、あの「絶対に失敗しないので」が決め台詞の女医シリーズと同じ位置にあると私は思う。

リーガルハイと同じ古沢良太さんの脚本なだけあって、圧倒的な存在感を放つ主人公ありきで(褒め言葉)物語が展開するところや、奔放な主人公を支えるチャーミングな仲間たちという構図が似ている。ガッキーが演じる黛さんと本作のボクちゃんのポジションも、結構重なるものがあるのではないだろうか。

 

類似点を指摘したのは、 本作のエンドロールをぼんやり眺めながら、こういう「明日から頑張れる系エンターテイメント」を日本のお家芸として誇っていいのではないかと思ったからだ。

これは週の始まりに見たい映画だ。ドラマが月9として当初放送されたのはベストな選択だった。

人生には、明日を明るく迎えるためのカンフル剤が必要な瞬間がある。そんな時に見たいのは、主人公が苦難を乗り越えて成長する映画じゃない。絶対に期待に応えてくれる主人公がその期待をさらに上回って活躍してくれる映画だ。

やっぱエンタメって最高。王道って最高。続編も楽しみにしています。こんなに熱く邦画の王道について語っているのはキングダムでも同じことを思ったからです。

顔綺麗かつ演技上手い俳優がいっぱい出てきて大団円を迎える。

これこそがエンターテイメントの原点だと思うし、それに愚直に取り組む邦画の良さを噛み締めた今期でした。しばらく邦画はアニメが多くてあんまり見なさそうだけど、今日の予告編で見た三谷幸喜脚本の『記憶にございません!』は結構面白そうだったなあ。

 

王道の良さという抽象論に終始してしまったので、個人的に好きだったポイントを羅列して終わります。

 

ジェシー、というか三浦春馬が死ぬほどかっこよくてびびった。こんなかっこよかったっけ?って100回は思った。歯の浮くことしか言わないのが似合ってるし、自分の魅力で生計立ててるだけある。最後にただの腰抜け男というオチをしっかりつけてくれたのは、三浦春馬に心を奪われかけた私たち観客も結局はダー子の手のひらに転がされていたに過ぎなかったことがわかって嬉しかった。当事者意識的な感じで。

 

・主題歌の『Pretender』は元から知ってて好きな曲だったんだけど、この映画のエンドロールで改めて聞いたら、ダー子がジェシーに未練があったのは全くの嘘ではなかったんじゃないかとも思えてきて楽しい。やっぱりこの映画もう一回見たいな。

 

・ひとつ残念だったのがボクちゃんの良さがあまり出ていなかった点かな。そつがなさすぎて逆に違和感というか。三浦春馬の名演もあってか、それも筋書きの上だとはわかって振り返ってもやっぱり霞んでた。ボクちゃんのダー子への告白もなんかもうちょい良くできそう。ドラマの段階からダー子とボクちゃんの関係が進展する可能性は仄めかされてた気がするから、どうせ回収するならもっと必死感出して、全部ぶちまけるぐらいの勢いがほしかったなあ。

 

・私はドラマだと第5話「スーパードクター編」が一番好きで、中でも騙されたとわかったナンシーが大笑いするシーンが本当に好きだったので、また同じ展開が見られて嬉しかった。特に赤星は自分と金への執着でしか動かない、やべえ奴感の強い登場人物だったから嬉しさもひとしお。そして第5話ではボクちゃんが始まりのセリフ担当なんだけど、ソファの下に潜り込んでそれを言ってるのがかっこよすぎて誇張抜きで5回は巻き戻した。ちなみに5回も見たらちゃんと言えてないことにも気づくんだけど、そこも込みで推せる。

 

・ドラマでの騙された側の人たちを映画の中で再登場させたり、エンドロールの後アンコール出演してくれたり、かなりサービス精神が旺盛だった。ダー子に心底惚れているので一生ついていくけれども、こういう細やかな気遣いからファンを育てて長く愛される作品にしてほしい。(誰目線?)

 

以上です。適宜書き足します。

最後にもう一回言いますが、三浦春馬が最高にかっこよかったです。